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ハンターの日記

Book
(最初のページにメモが走り書きされている。 事象現場62-Bから回収。生存者なし。他の人類の遺跡で報告されたものと類似しているため、この謎の煙を「エコー」と呼称する) 1日目:今日は依頼者たちとキャンプを設置した。どうやら魔術学会は、監視者のために遺跡の中の案内人を必要としているようだ。魔術学会の奴らが古代人類のものと関わりたがるなんて、不思議なもんだ。いつもならロープを張って誰も入れないようにするもんだが。まあ、魔術学会からの高報酬を前に受けないわけがない。特に、誰も受けたがらない仕事の場合はな。地元の奴らはこの遺跡が呪われてるって言ってる。だから、魔術学会は俺みたいなハンターを雇う必要があったんだ。矢に射抜かれない方法を知ってて、暗いところを怖がらないような奴をな。 バカなことをする奴がいなけりゃ大丈夫なはずだ。それに迷信なんて俺は信じるような質じゃねえしな。
2日目:今日はかなり朝早くからだった。監視長のフィンニとかいう奴が、イモムシを捕まえたウルに大騒ぎだ。監視者の一人が呆れたような顔をしていた。おそらくフィンニはあまり人望のないリーダーなんだろう。遺跡に降りていく間、ずっと人類消失の仮説の話をされたしな。 そんなの関係あるのかと聞いたら、目を丸くしていた。遠い昔に死んだような人類が俺達に関係あるとは思えない。そいつの返答は無視しておいた。 遺跡の中にキャンプを設営した。メンバーの何人かがソワソワしている。一番若いシムーは、今日の移動中に影の中から声がしたと言っていた。俺には何も聞こえなかったが。フィンニには、あとでシムーの様子を見ておくよう進言しておいた。
3日目:昨晩は悪夢を見た。昔見ていたものと同じ夢だ。俺が動けなくなっている中で、あいつが落ちていくのを何度も何度も見る羽目になった。動こうとしても、助けを呼ぼうとしても、まるで自分の体が自分のものじゃないような感覚だった。他の遠征メンバーも悪夢を見たと言っていた。みんな似たような夢を見てるんだろう。 一番深刻なのはシムーだ。目の下にくまができて、話しかけてもほとんど反応しない。フィンニはただの緊張だと切り捨てていた。どうも学校を出てから初めての任務らしいが、それとは違う理由な気がする。昨日のシムーは緊張していたが、おかしな様子はなかった。今日のアイツはまるで別人だ。 今日は更に奥深くに進んで、キャンプを設営した。
6日目:遺跡の中でロックされた扉のようなものを見つけた。丸一日かけてロックを解除するためのパズルを解いたが、その扉の先は何もない廊下に、紫の煙があっただけだった。最初は罠から出た毒ガスかと思ったが、煙はすぐに消えた。 7日目:シムーがいなくなった。一日かけて探し回ったが跡形もなく消滅したかのようだった。フィンニに伝えようとしたが、こちらの言うことに耳を貸さなかった。なんというか…俺に怒っているようだった。シャドヴァラクみたいな怒鳴り声を上げられたからな。ただのストレスだと思うことにしたが、正直確実なことは言えない。すぐにシムーは見つかると思うが、この探索は打ち切ったほうがいいかもしれない。 7日目:また同じ悪夢だ。なんで俺は動けないんだ?
8日目:フィンニは通常通り探索を続けると言った。廊下にある扉を開けていくことに集中していけば、シムーはいずれ出てくるだろうとのことだ。シムーの捜索に人員を割くつもりはないらしい。一部のメンバーは抗議したが、フィンニはそれを反乱扱いするところだった。まあ、俺には関係ねえけどな。 8日目:どの扉の向こう側にも全く何も無い。煙だけだ。ハンターの俺が雇われたのは何だったんだ?空気なんて倒せやしないぞ。そもそも人類がここを封印してたんだから、生きてる何かがいるわけもない。 9日目:何度も何度も悪夢を見る。昨晩はほとんど眠れず、ただただ見張っていた。暗闇で何かがうろついているのをこの目で見たんだ。だが、確かめに行ってもそこにはもう何もいなかった。 10日目:シムーを見つけた。封印されていた扉の向こう側にいた。どうやって入ったのかさっぱりわからないが、シムーは何も話そうとしない。見つけたときのシムーはブルブル震えていて、紫の煙に囲まれていた。フィンニに探索を中止して帰還するべきだと言ったが、剣を抜こうとしてきやがった。今晩はシムーのテントの近くで寝ずに警戒をしておこうと思う。
(次の数ページは傷んでいて、ほとんど解読不能だ。次の読めそうなページまで日記をめくった) -- 捕まった。フィンニに違いない。みんな感染しているだとか言って、俺達を閉じ込めた。アイツが影響を受けるとは思いもしなかった。みんな被害妄想にやられたんだ。ここから逃げる方法を-- -- ここだ。ここから出ていたんだ。あの煙はここからだったんだ。目を閉じると見えるのは、紫の煙だけだ。フィンニは地下につながる水辺の隣で横になっていた。そして水に向かって歌っていたんだ。ここから出ないと。シムーを連れて。アレを目にした彼女は悲鳴を上げだした。アレは立ち去ろうともしない。だからといって、アレが飢えるのを待つつもりもない。
(今のが日記の最後のページだ。違った筆跡で裏表紙にメモが貼り付けてある) この日記は塗られた遺跡の中で見つかったものである。広範な捜索にも関わらず、遠征チームの痕跡は発見できなかった。塗られた遺跡につながる通路や地下水源も確認されていない。遺跡は比較的単純な構造をしており、不死鳥の神殿であると考えられている。行方不明となった遠征チームがこの遺跡に到達した唯一の証拠は、この日記である。全探索員が遠征中の行方不明として記録された。
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